昭和彷徨

kr22006-04-11

陰翳禮讚/谷崎潤一郎(1933)、細雪/谷崎潤一郎(1948)を読む。
そして堕落論/坂口安吾(1946)→火宅の人/壇一雄(1975)→斜陽/太宰治(1947)を読了。
無頼派を流しました。

建築家J.Nouvelが援用するという「陰翳禮讚」は建築的視点が随所に散りばめられており、さしづめ身体空間論とでもよべる内容です。

まるで江戸時代の生活をイメージさせる生活を描写した戦前文学と、より現代に近い生活を描写する戦後の文学の違いは歴然としていて1945を境に日本に変革があったことが分かります。いずれにしても家柄という視点が随所に出てくるので、総中流で育ってきたポストバブル世代には実感がもてない問題設定が多々あります。けれど、読み応えは抜群で非常に面白い。文学に詳しくはないけど、近現代文学は面白いと思います。でも、島崎藤村の「家(1910)」はあまりおもしろくなかった、というより読みづらかった。どの辺が琴線に触れるのか分かる気がします。

さらに、芥川龍之介の卒論が「ウィリアム・モリス研究」だったということに驚きました。