もし家を建てるなら

日本の造園技術に借景というものがある。
「よく衝突しないもんだな」と思いながら眼下の何千という自動車の往来をぼんやりと眺める導入部をもつ吉田小説のかんじとかLost In Translationの雰囲気とか最近流行の逆ティルトを用いた模型風都市俯瞰写真とかそれらに共通するのは、有機的な都市を風景として捉え直す姿勢だと思う。これは有機的な運動体(都市)の一面を自分にフィットさせることで、全体から一部(一側面)を借りて好みの風景として見立てるものでありまさに借景である。
もし僕が家を建てるなら子供が動くものに目を奪われるように、マイ・フィットな有機体(それはお隣の外壁に息づいた苔でもよいけれど)を探すだろう。